最後のひとりが感謝の言葉を述べ終わり、ついに本日のメインイベント。M原さんのスピーチとなりました。

みんな泣いてました。M原さんも大泣きでした。まさに号泣で、しばらく言葉が出ないくらいの状態でした。

そんな中、ワタシだけボーっと立ってました。

やがて治(おさ)まってきたM原さんは、ハンカチで涙を拭うと・・・普段のM原さんからはとても考えられないような言葉を口にしました。

「あの3人のことは絶対許せない!! 呪ってやるっ!!」


・・・あの3人?

まーひとりはねずみ男事務長で、あとはブタゴリラ婦長だろけど。3人?

M原さんの後任で外来主任となり、そのあと病棟婦長になった・・・誰だっけ? 名前忘れた。あの人??

でもあの人・・・事務長派閥じゃないよね? ただ辞令に従っただけだし。

だけど南木さん(仮名)とは考えにくいし、まさかのEさん・・・なんてことはまずあり得ないし。


・・・なんて思案に暮れるような状態になれたのは随分あとで、そのときのワタシはかなり動揺してました。

いや、ワタシだけじゃなく、その場にいた他の職員さんたちも同様だったと思います。動揺だけに。


M原さんが使った『呪ってやる』という言葉。その『呪う』という単語が動揺の原因ではないのです。

いわゆる言霊というやつです。M原さんの言葉には、まさに『怨念』がこもっていました。

ビジンダーさんも記憶していると思いますが、旧デイケア施設は昼でも薄暗いのです。元々ワタシひとりでいたのですから、照明も点けていませんでした。

そこに地獄の底から響き渡るような、怨念、恨みつらみがこもった『呪ってやる』です。本当に一瞬、地面がグラッと揺れたような気がしました。

男のワタシでも背筋が寒くなったくらいです。ワタシもそれまでいろいろと人生経験してきましたが、あれほどの憎しみの感情を見たことがありません。