ワタシはY島さんに、全幅の信頼を寄せていました。

その分、後任の看護婦を見る目は厳しくなります。

それに加え、デイケアに対する強い思い入れがあります。創立メンバーとしてのプライド、というのも変ですが。そういうのも実際ありました。

・・・いかに二代目看護婦、そして三代目のM本さんがやり辛かったか。容易に想像が出来ると思います。


ビジンダーさんだって最初のころは、ねずみ男事務長がうるさくて困っていたでしょう? あれにデイケアの古株であるワタシが加わる感じです。

もちろんそういうのがよくないこと、わかっています。

しかしワタシはもう引っ込みが付かなくなっていました。古参メンバーとして、言わなきゃいけない立場になっていたのです。

そんなときに降って沸いたような、訪問介護事業所所長就任のお話。

「自分がデイと距離を置いたほうが、デイのためになる」

そう考えたワタシは、デイケアから離れる決意をしました。


これが、ワタシがデイケアを去ろうと思っていた理由です。

それがビジンダーさんの説得で、結局は覆されるのですが。

でも思い出してみてください。ワタシは訪問の所長に就任後、デイケアの運営には一切口を出さなかったでしょう? そういうことです。


話を戻しましょう。このときねずみ男事務長と喧嘩になったことは・・・後々、響きました。

その後、一緒に送迎に行くときに気まずくなったとか。そんなことはどうでもいいんです。

問題は訪問のほうです。いくら院長先生の後ろ盾があって、全権を持たされているといっても・・・そこはやはり初体験です。初めて人の上に立ったんです。

難しいですよ。まして部下が、知恵遅れのブーカですから。本当に難しかった。

そういうとき頼りになるのが、事務長のような立場の人間でしょう。経験もあるし権限も持っている、そんな人間です。


・・・もし、このときの喧嘩がなかったら。

もし、ワタシとねずみ男事務長の関係が良好なままだったら。

当然、何かある度に相談していたでしょう。協力を仰いでいたことでしょう。

もちろん、それでもその後に訪問事業所が迎える運命、変わらなかったとは思いますが。

しかしもっと違うカタチになっていた、とは思います。訪問事業所も、

そしてワタシの人生も。


ビジンダーさん、あなたも当初・・・いや、そこそこ長い期間です。あのふたりのこと、温かい目で見てましたね。

「気持ちよく働かせてやりたい」という思い、持ってましたね。


ワタシは誰にも相談すること出来ませんでした。そして心が蝕まれていきます。