昼の送迎業務、恙無く終わりました。

お腹はそんなに空いてません。

そもそもワタシは・・・こんな体型なので信じられないかもしれませんが、昼休みは「食べる」ことより「寝る」ことに費やしたいタイプなのです。

しかしその日の送迎前は、ボーっとしながらS原さんと喋ってたワケですから。それほど眠くもありません。

なので戻り次第、業務に就くつもりでした。


当時のデイケア施設は、まだ院内にあるころ。旧施設です。

送迎から帰ってきたとき、助手席のワタシは駐車場の入口付近で降ろされます。そして正面入口を通り、デイに戻るというのがいつものパターンです。

その日も当然同じで、受付の前を通りデイに向かっていたのですが・・・


第一診察室の前ぐらいです。ハゲがいました。ハゲはワタシを指差して、腹を抱えて爆笑しています。

・・・いや、これ大袈裟に言ってるワケではないです。本当に、第一診察室の前の廊下で声を上げて大爆笑していたのです。

正直、「?」です。それはそうでしょう? ワケがわかりません。


これはワタシの悪い癖なのですが。

ワタシの視力が落ちてきたのは、小学二~三年生くらいのころです。

元々目が悪かったワケではないワタシにとって、眼鏡をかけるという行為。

鬱陶しいこと、この上ないことでした。

なので高校卒業ぐらいまで、必要なとき以外は裸眼で生活していたのです。

その結果・・・目付きが悪くなってしまったというか。眉間にシワを寄せて物を見る癖がついてしまいました。


あの日は晴れてました。そこを昼送迎です。そして院内では比較的明るい受付・待合室の前を通り、暗い廊下に差し向ったのです。

おそらくワタシの目付き、相当悪かったのでしょう。

加えて、爆笑しているハゲにワケがわからず。怪訝そうな表情もしていたかもしれません。


「なんですか?」

ワタシは尋ねました。確かに記憶しています。その一言しか言ってません。

するとハゲは笑うのをやめて、「え?」という顔でワタシを見ました。

・・・いや、それは訊くでしょう? 目の前で、指差されて笑われたら。

ただ、やはり自分の目付きの悪さは自覚してましたし。しかもハゲが、あまりにもマゴマゴしてたというか・・・狼狽(うろた)えた感じでしたから。

「なんか怖がらせちゃったかな?」

と自分のほうが気を使ったぐらいです。


そのあとちょっと、ほんのちょっとだけ間がありました。

そしてハゲが、苦し紛れのように言葉を吐き出しました。

「違う!! 俺は関係ない!! い〇〇〇さんとN本さんがやったんだ!!」

なんか必死な感じでした。

ただそんなこと言われましても・・・コッチは相変わらず意味がわかりません。