人はどうして哀しくなると 海を見つめに来るのでしょうか

答:競艇をするためです。

というワケで前回、大マジメに長々と書き過ぎましたが。今回はその続き。
果たして本来のテーマである『ボートレースの忘れられない1日』までたどり着くことが出来るでしょうか?



実は退職する1ヶ月くらい前に父の入院が決まりまして。それなら仕事辞めなくてよかったんじゃないか?と思われるかもしれませんが、さにあらず。

父の入っている病院と母の病院は家から真逆の方向にあり、また程なくして父が失禁するようになって週2~3で洗濯物を取りに行かなければならない(尿臭の染みついた衣類洗うのが大変!!)。

母は母で骨董壊死を起こし再手術、成功しても階段昇降は無理だろうということで。1階の店を住居に改築しなければならなくなり、そのための片付けとか。

あと2匹いる犬の1匹がボケてしまい、まーボケた犬がやることといえば大概汚いことですが、カレーを食べながら読んでいる人のためにその話は割愛。
もう1匹のほうは病弱でしょっちゅう病院に連れて行かなければならない。

・・・考えてみれば犬の世話はそれまで主に父がやっていたワケで。それも全部自分にまわってくるんですから。やることはいっぱいでしたね。



そんな折、いろいろとまたストレスが溜まることがあり、結果心臓病が悪化。風呂上りに気を失ってぶっ倒れ、ろっ骨を折ってしまいました。


・・・もうね。ここまでくるとね。完全に戦意喪失ですよ。レフェリーがいたら止めてますよ。

でも人生は終わらない。

だけどよっぽど憔悴してたんでしょう。見舞いにいった際、母が通帳を手渡し

「今月の年金を下ろしなさい。そしてその金で・・・競艇に行ってきなさい!!」

だって (゚o゚) 親の金で遊んで気分転換しろってことですか。いい母親じゃないですか  (´▽`)

「そういう悪いことが続くときは案外、博打で勝てるもんなんよ。で、勝ったお金で服を買いなさい。」

・・・は? (゚∇゚ ;)エッ!?

「あんたいっつもルンペンみたいな格好して見舞い来て。私、恥ずかしかとよ!!」

・・・そうでしたか。失礼しました ( ̄0 ̄;)



そんなワケで、まーその日はもう遅かったし体も痛いしで、真っ直ぐ帰って翌日行くことにしたんですけど・・・正直、自信は無かったんです。

というのもわたくし、その時点で競艇かれこれ何百回も行った経験の持ち主だったんですけど、仕事辞めてからはあんまり行っていなかったんです。

朝から競艇とかパチンコって、いかにも無職みたいで嫌じゃないですか。

そしてこれは自分の悪いスペックなんですけど、やらなかったら出来なくなる。極端にいえば自転車、しばらく乗らなかったから乗れなくなるみたいな。いやもちろん自転車は乗れますよ。例えばの話。

ただギャンブルとなるとやはり感が重要になってきますから。感がかなり鈍っているんじゃないかって思いまして。

ってゆーか自分、感云々じゃなく舟券の買い方忘れるタイプだった。あと久しぶりに行った場所、入口とかわからなくなるタイプ。

そんなんですから、勝った金で服買うどころか負けて身ぐるみ剥がされる可能性のほうが高かったんですけど。
まー気晴らし程度にテキトーにやろうぐらいの感じでね。軽い気持ちで翌日行ってみたんです。


boatrace1



久しぶりの競艇場は・・・そんなに感慨深くもなかったです。ってゆーかろっ骨が痛くて。

でも、感は鈍っていなかった。鈍るどころかむしろ久しぶりというのが幸いし、新鮮な感覚で見れるというか。もう展示見ただけでだいたいわかってしまうぐらいの神好調。

・・・しかしですよ。いざ舟券を買おうとすると母が電話をかけてくる。何度も何度も。最悪のタイミングで。

「あのね、母さん。俺が今、競艇場にいることは知ってるよね?」

「うん、だから手が空いてるやろから電話しよるとたい。」

「いや、すんなって。」

結構いい配当のレース、ふたつくらい買えなかった。買ったら当ってたのに。


で、一旦中止。ボートレース福岡は無料でお茶飲めるけど、ちょっとコーヒーでも買って。外の席に座って、ゆっくり遠目に見える海を眺めてたんです。

海はいいな。海には男のロマンがある。

ロマンよりマロンのほうが好きだけど。そいえば日活ロマンポルノなんてのもありましたね。

な~んてくだらないこと思いつくままぼんやり考えてたりして。まったりして午後のひとときをすごしていました。

そのうちコーヒーも飲み終わり、そろそろまた再開しようかなっと立ち上がって何気なく横を向いたところ・・・


少し離れたところに、昔好きだった女性が!!

いや正確にいえば現在進行形の、昔から好きだっている女性ですかね。


彼女は辞めた職場で一緒に働いていた人。といっても自分が辞める随分前に退職しています。

もう2度と会えないと思っていた人。最後に好きになった人です。


・・・なんで2度と会えない人をいつまでも思ってんねん!! 競艇と一緒!! ハズしたら次のレース!! 次、次っ!!

と思われる方も多いでしょう。しかしこれは、わかる人にはわかると思います。

というのもわたくし、その時点で結構な中年なんですね。で、恋愛にはもうあきらめが入っていたんです。

もちろん50になっても60になっても新しい恋する人もいますよ。でもそーいう人の多くは若いころからの恋愛が上手くいってた人・幸せな気持ちを味わってきた人。
逆にうまくいかなかった人・辛い思いをしてきた人は、ある程度の歳になると心が折れてしまうんです。

肌寒い木枯らしが吹く中

「俺、女性と縁がなかったな・・・。」

うつむいて少し寂しい笑みを浮かべたら、そこで終わりです。


でも、そんなモテない君たちにも誰かひとり忘れられない女性というのがいるもんなんですね。それがわたくしの場合、最後に好きになった彼女だった。


俺にはお前が最後の女ー♪(付き合ってないけど)

俺にはお前が最後の女ー♪(付き合ってもないのにお前言うな)


・・・しかしこれが残酷なのは、いわゆる次がもう無いもんだから。学生時代の淡い片思いとかとは違って、思い出に変わらない状態でいつまでも引きずってしまうんです。

たとえもう会えないとわかっていても、忘れようと思っても、夜、夢に出てきたりする。で、目を覚ますとまだ深夜2時か3時。真っ暗な部屋。どこまでも続く静寂。・・・このさみしさたるや。

眠れない夜と 雨の日には

忘れかけてた 愛が蘇らないで下さい!!


・・・しかし今、その大好きだった女性がそこにいる。夢にまで見た彼女が。いや俺の彼女じゃないけど。


というワケで次回は『フライング 飛翔 EP3』。

さあ『ボートレースの忘れられない1日』の始まりです!!