自分が初めて就職した会社は、バブル崩壊の影響で入社後半年くらいで無くなりました。

その会社の東京本社なのか支社なのか。とにかくそこに、とある先輩がおりまして。
もちろん会ったことはありません。ただ話に聞くには、とても明るく爽やかな男性だったとか。職場恋愛の仲睦まじい彼女もいたそうです。

ただそれが・・・なんでそんなことになるのか他の先輩たちも意味がわからなかったそうですが、ある日突然その彼女さんが

「お知らせがあります!! わたしこの人と結婚します!!」

と、別の先輩の腕を掴んだそうです。

特筆すべきは、そのときその彼氏だった先輩も驚いていた様子だったこと。


「・・・そんなことがあるんですか?」


「あったんだよっ(怒)!!」


いやなんで俺がキレられなけきゃいけないんだよ(-ε-)


その日以降、その『寝取られ先輩』は、仕事のこと以外は誰とも何も話さなくなったそうです。
そして仕事が終わったらすぐに退社。会社の寮に住んでいたのですが、同じ寮に住んでいる他の先輩によると毎日遅く帰ってきてるとか。

心配になった部長が「誰か帰りに後をつけて見てこい。」と。そこでひとりの先輩が退社後の彼を尾行したところ・・・

行っていたところはパチンコ。無表情で、ただただパチンコを打っていたそうです。

そこでひと安心・・・となるところですが、やはり普段の様子が今までと違いすぎるものですから。余計なお世話かもしれないけど他の先輩も心配して、ちょくちょく見にいってたそうです。

でもパチンコ。やっぱりパチンコ。

逆によくそんなに毎日打てるな!?って話になったそうですが・・・ある日、みんな気付いたんですね。

昔のパチンコは今と違って、出玉はドル箱に入れて後ろに積んでいたじゃないですか。

「あいつ・・・いつも無茶苦茶積んでるな。」

「ええ・・・あいつの後ろに箱がないの、見たことがない・・・。」


「あいつは・・・鬼になったんだよ。」

「ぶ、部長!?」

「深い哀しみが、あいつをパチンコの鬼へと変えてしまった。あいつはもう・・・戻って来れないかもしれないな。」


その翌年に会社は閉鎖。彼の消息は誰も知りません。



でね。まーこれは長年パチンコ打ってきた俺の持論なのですが。

パチンコって、やれ攻略法とか釘とか。遠隔だとか運だとか。いろいろ言われてるじゃないですか。
でも俺から言わせてもらえば、それらは要素のひとつでしかなくて。大切なのはもっと違う部分というか次元にあるというか。まーひとつ言わせてもらうなら


パチンコはココロで打つもんやっ!!(大阪人に変身!!)


熱いハートで、とか。そんな生半可なもんとちゃうで。


哀しみを背負わないと。


その哀しみにしても、生半可なもんじゃいけん。


たとえばケンシロウ。北斗の拳の。「悲しみを怒りに!!」なんてのたまいよったけど、アイツにはユリアがいたやん。死んだことになっていたけど、付き合ってた過去があるやん。


俺にはないぞ!!(´;ω;`)


あんなんじゃダメよ。あんなんじゃラオウに勝ててもパチンコじゃ勝てん。


ジローにしてもそうだろ? って言いたいところだけど、今の若い人にジローいうても「ラモ?」「痔ろう?」って返されるだけなんで。やめとく。ミツ子さんがいるだろ? のジロー。


とにかくね。俺から言わせれば アイツらは甘い。

本当に哀しみ背負うというのは、背負った人間というのは、

彼女に裏切られた先輩

そして

裏切ってくれる彼女すらいない後輩(俺)

みたいなのをいうんよ。

そしてに『哀しみを怒りに!!』なんて生ぬるいこと言ってちゃダメ。パチンコがココロで打つもんなら、ココロに宿さないと。いや勝手に宿るもんなんよ。先輩のココロに鬼が宿ったように。

・・・そして俺にもひとつ。宿ったんですよついに。



朝いちで父の見舞い、ついでに受付で支払いを済ませ。待合室でひと休み。

「母の見舞いには夕方行くとして・・・今日は何を打とうかな。」


・・・ええ。如何にも無職でみっともないと思ってた朝パチですよ。


「パチンコで人生をわたってやるさ!! どうせ無職だもんな!!」

「自転車で青葉の滝を・・・ 走ーれメーロースのよおにー♪ なんて俺には望むべくもないんだもんな!!」

パチンコで勝てばいいんだ お金さえあればいいんだ

ひねくれて星をにらんだ ぼくなのさの精神ですよ。


・・・その病院には精神科もあって。普段、楽しそうな患者さんもいっぱいいるんですが。

その日は少し離れた位置に、ひとつの家族・・・父親と母親、その間にチョコンと座ってる少女がいるだけ。その少女がひとりで唄を歌ってるの。

曇り空なのに照明も点けてない、暗い待合室。そこで聴いたことあるようなないような、奇妙な唄をか細い声で歌う少女。やがて歌い終わると、その少女が俺をゆっくり指差して

「悪魔がいるよ。」

「悪魔がいるよ。悪魔がいるよ。」

両親「やめなさい、やめなさい。」

「悪魔がいるよ。悪魔がいるよ。悪魔がいるよ。悪魔がいるよ。悪魔が・・・」


・・・よっぽど荒んだ顔してたんかね( ̄0 ̄;)


でも、そうなのです。悪魔ココ二誕生ス。

あーくまのちーからー 身にーつーけたー♪

わたくし、パチンコの悪魔となってしまったのです!!

とにかく負けない!! 連戦連勝!!


昔のように1日10万とか、そんなに勝てるワケじゃないけど。ってゆーかそんなに打つ時間ないのでね。限られた時間で毎日さらっと数万いただきます、みたいな。

今日もどこかでデビ夫人ですよ。ジグマだけど。


そのころ、母が退院したら介護保険も必要だろうということで。申請の手続きとかでケアマネと面談があったんだけど。

ケアマネ「お母さん、次男さんにお金あげてください。このままだと次男さん、かわいそう過ぎる・・・。」

俺「あー金なら大丈夫っすよ。俺にはパチンコがあるから。」

なにこの会話。でも実際、金には困ってないから。むしろ俺が母にお小遣いあげたいくらい。



あ、これ自慢じゃないですよ。こんなん自慢にもなんにもなりません。だってそうでしょう?


普通に仕事して。好きな人と結婚して。
普通に生活するのが1番いいに決まってるじゃないですか。


俺には人並の幸せなんてなかったから。パチンコくらい勝たせてもらって当然なんです。



・・・しかしイキっていられたのもこの年まで。翌年、更なる哀しみが俺を待ち受けていました。




このシリーズも次回が最終回(予定)。楽しんでいただけましたでしょうか?

さて、次々回からは・・・何を書きましょうか?

近況・・・母が入院したんで。自分ひとりのために風呂沸かすの面倒臭いということで。
最寄りの銭湯いったら、小学校低学年(ギリギリ入れる年齢?)ではあるんだろうけど。えらく発育のいい女の子をお父さんが男風呂に連れてきてて。なんでか知らん思わず露天風呂のほうまで逃げてしまった純な50のおじさん職業無職の話とか。

予告していた、自分の入院・退院後に随分と嫌な思いさせられた話とか。

とりあえず大河ドラマより長く続きそうな〇〇病院物語とか。

その1部だけどハゲり田先生とドン底事務長の悪の所業短編集とか。

我が家の家族を紹介します(⌒-⌒) っなーんてアットホームな感じでもう半分くらい書いてるのに、諸事情によりしばらく公開出来ない話とか。


まーネタは山ほどありますんで。楽しんでいただけるよう一生懸命書きますから。ってか仕事しろ!!って話? でもまーそれはコロナと母の今後次第なんで。

是非是非また読みに来てください。お願いします m(_ _)m